2016年7月11日月曜日

lathe work

去る6月4日、東京で行われた水分農場組合総会に行ってきました。

イヤー楽しかった!とりあえずその詳細はここでは書きませんが、

水分後のオフ会、その後の2次会(3次会?)で、ツイッター上で知り合ったhiroさんにとてもお世話になりました。

 そのせめてものお礼に、ということでhiroさんが購入されたパークス製オビTPM、negotiator用の

エミッタープラグを作ることにしました。

この製作過程に結構色々な加工の要素が詰まっていて、なかなか面白そうだったので記事にしてみます。

セーバー本体は・・・ メイスとかオビとかその他とか色々やってるんですが、それはまぁまた今度。

今回は主に加工手順に重点を置いた記事にしてみようと思います。

ただし、旋盤でもフライスでも加工方法には結構いろいろな流儀が有り、あくまで僕がやる場合は、

という前提での内容になりますのでご了承下さい。




まず、今回作るのはこれです。



かつてSW展でプロップに装着されていた(何かの雑誌にも載ってたかな?)、これをエミッタープラグにしてみようと思います。

ただ、パークスのオビTPMのこの段差部分に上手くフィットするように作らないといけません。




材料はこれ。

A2017(ジュラルミン)の端材、直径φ50厚さ約29mmです。

まずはチャックにくわえ、先に端面を整えます。


センターがくぼんでいるのは、以前やった別の加工の名残です。

次に外径の荒削りをやる訳ですが、チャックのサイズ的に逆爪で把握している関係上、結構シビアな作業になります。

刃物台を傾けて、こんな感じでチャックの爪ギリギリまで削ります。


僕の使っている旋盤の場合、荒削りは往復台のハンドルを手送りで回します。

樹脂製の駆動ギヤに負担がかかるので、この段階では自動送りは使いません。

一回の切り込みはだいたい0.5mm程(直径でφ1)にしてます。

荒削りが終わったら、自動送りをかけていったん外径を仕上げます。



でもこの径(φ44)が必要になるのは、チャック近くの約2mmの幅だけです。

なので再び荒削り。ブレードホルダーに収まる部分になるので、約φ25.3 を目指してガリガリ削り・・・



1インチのブレードホルダーと現物合わせしながら、外径を仕上げます。



出来る時に、面取り用のバイトや外径削り用のバイトを使い分けて面も取っておきます。



次に内径加工。もともと中心部分がくぼんでいたのでちょっと深めにセンタードリルを突いておき、

φ12.5のキリで穴あけ。φ12.5の部分が深さ15mmになるように穴をあけます。



 端面に内径バイトの先端を軽くコツンと当てて、そこで目盛り(DRO)をゼロにセット。


 仕上げ代を残して、約14.8~14.85mmくらいの深さまで荒削り


その後内径を仕上げます。この場合、まずバイトの刃先をセンター付近に寄せて深さ15mmまで突っ込んでおいて

そこからから外径側に向かって底面の仕上げを行い、その後内径の仕上げ、という順番で削ります。



内径の面取りも忘れずにやります。内径外径兼用の面取りバイトを作っておくと便利です。



次にエミッター端面の出っ張り分を逃がすためのスペースを削り込みます。

ここではこれを使います。8mm角のS45C角棒にリーマー穴をあけてφ3のハイス丸棒を差し込み

イモネジで固定した 自作バイトです。



まず、45°の刃でブレード部分のスミを削り込みます。



刃の突きだしと角度が相まって切削条件としては結構厳しいので、回転や切り込みは控えめに、慎重に進めます。

バイトをひっくり返して、外径側のスミに向かって削り込みます。





刃先が切削面に対して平行で抵抗が大きいんですが、まぁ快削材のA2017だしなんとかなるだろ・・・

と思ってたら思いっきりビビり痕が残りました。なんてこった。


仕方ないのでバイトの刃先を尖った物に変更したり、主軸手回しハンドルを使ったりしてごまかしました。

ちょっとバイト目が目立ちますが、まぁ完全に隠れるところですし・・・

面取りをして一工程目は終了です。


次にチャックの爪を付け替えて、ひっくり返して二工程目です。

仕上がった部分を傷付けないように銅の薄板を挟んでますが、普通のコピー用紙とかでも良いと思います。

どちらにせよ、チャックをあまり思いっきり締め付けると傷が付くので適度な力加減が必要です。



とりあえずこの状態で、一工程目で仕上げたφ44のちょい手前まで荒削りをします。



なんでこんなことをするかというと、一工程目でチャックで掴んでいた部分が

ダイヤルゲージの測定子を当てるのに邪魔だったからです。



特に小型の機械の場合、このテコ式のダイヤルゲージとミニマグネットベースは非常に重宝します。

こんな感じで、先ほど仕上げたφ44の部分に測定子を当ててチャックを手で回すと、

どの程度の振れが出ているのかが分かります。



1目盛りが0.01mmなので、この場合チャック一回転で約0.13mmほどのズレが出ています。

なのでチャックと主軸フランジを固定しているネジを緩め、ハンマー等で軽く叩いてこのズレを修正します。


ダイヤルゲージの針の振れが0.01mm~0.02mm以内くらいに収まれば十分です。

ここから二工程目の切削再開。ここでもまず端面を整えます。


次にテーパー切削。プロップの正確な角度が分からないのでとりあえずトップスライドを60°にセットして

様子を見ながら調整していくことにしました。







と、ここまで削ってみたら端面に残る部分が小さくなり過ぎたので再び端面切削。

この辺はもう、寸法どうのこうのではなくて見た目で判断しながら削り込んでます。

  
大体良い感じの形になりました。


記事を「lathe work」 と題してますが、ここからはちょっとだけフライス作業です。

フライステーブルに載せたチャックにワークを固定し、ここでもダイヤルゲージを使って芯出しをします。

ダイヤルゲージを主軸に付け、

この状態でも

 こっちに向けても




あっちに向けても


 360°、どちらに向けても針が極力振れなくなる位置にテーブルを調整し、その位置でX,Yの座標をゼロにセットします。

 これでワークと主軸のセンターがほぼ一致しました。

今回はここに、PCD(ピッチ円直径)φ12で円周3等分のφ5の穴をあけることにしました。

φ12の円周上に、120度 ごとにφ5の穴を3つあける、ということですね。

ロータリーテーブルを回転させて120°ごとに穴をあけても良いんですが、

このくらいの作業なら三角関数を使って計算して座標を求め、X軸とY軸の数値を合わせた方が早くて正確だと思います。


ので、3点の穴の座標をそれぞれ


X0Y6
X5.2Y-3
X-5.2Y-3

として 穴をあけます。センタードリルの後、φ4のドリル→φ5のエンドミルという順番で作業しました。




ということで、穴をあけ終わって機械加工が終了、軽く磨いたのがこの状態です。


あとはφ10のアクリルからφ5の丸棒を3本削り出して・・・






これをプラグ端面の穴に挿入、裏から遮光を兼ねてホットボンドで固定して完成です。



と、ここまで出来たのは良いんですが、僕の持ってるパークスのオビTPMヒルトは

ブレードホールを1インチに拡張していないのであてがうことができません。

これをhiroさんにお送りして、装着状態の画像を送って頂こうと思います。